この記事のポイント
実物資産としての銀貨の中でも、世界の投資家に安定した人気を保っているのがオーストラリア・カンガルー銀貨です。太陽光に包まれて跳躍するカンガルーの姿が刻まれたこの銀貨は、オーストラリアの雄大な自然と、パース造幣局の造幣技術が融合した一枚といえます。
この銀貨は2016年に登場した比較的新しいブリオン(地金型)コインで、オーストラリア初の純度99.99%(フォーナイン)の銀地金コインとして発売されました。手頃なプレミアムと高い純度を両立し、はじめての一枚にも選ばれています。
この純銀コインを製造するパース造幣局は、1899年、西オーストラリアのゴールドラッシュ最盛期に、英国ロイヤルミントの第3(最後)の支社として設立されました。シドニー・メルボルンの両支社が閉鎖された今も、当時の建物で操業を続ける、世界でも有数の歴史を持つ造幣機関です。

1899年設立のパース造幣局(西オーストラリア)
125年以上の操業歴を持つこの造幣局は、1957年には999.999(シックスナイン)に迫る「おそらく世界で最も純粋な金」の製錬に成功し、その品位は英国ロイヤルミントが自らの基準(ベンチマーク)として用いたほどでした。この製錬技術の蓄積が、カンガルー銀貨の品質を支えています。
カンガルー銀貨に描かれているカンガルーは、オーストラリアを代表する世界最大の有袋類です。その名は、オーストラリア先住民(アボリジニ)のグーグ・イミディル語「gangurru」に由来するとされ、この地との数万年におよぶ関わりを物語ります。
力強い後ろ足で一度に数メートルを跳び、短距離では時速40〜50キロにも達する俊敏さは、オーストラリアの力強さと躍動感を体現する存在として、世界中で親しまれています。
デザインの美しさも、この銀貨の大きな魅力です。太陽光を様式化した光線の中を跳躍するカンガルーが、波打つ縁取りの中に表現され、オーストラリアの大自然を手のひらに収めたような一枚に仕上がっています。原案はオーストラリアを代表するデザイナー、スチュアート・デヴリンによるものです。

太陽光の中を跳躍する赤カンガルー
カンガルー銀貨には、毎年デザインが変わるプルーフ版が以前から発行されてきた歴史があり、2016年に純度99.99%のブリオン(BU)版が加わりました。ブリオン版は跳躍するカンガルーの意匠を基本的に踏襲し、投資用として広く親しまれています。
品質面では、1トロイオンス、99.99%純銀、額面1オーストラリアドルという仕様で、オーストラリア政府による法定通貨としての保証が付いています。
| 純度 | 99.99%(.9999 フォーナイン) |
|---|---|
| 重量 | 約31.1g(純銀1トロイオンス) |
| 直径 | 約40.6mm |
| 額面 | 1オーストラリアドル |
| 発行元 | パース造幣局(オーストラリア) |
| 発行開始 | 2016年(1オンス地金型・BU版) |

セキュリティ面では、裏面「AUSTRALIA」の頭文字「A」の中に、マイクロレーザーで文字が刻印されています。拡大鏡でのみ確認できる精巧な認証機能で、偽造を難しくする役割を担っています。パース造幣局の銀地金コインとして初めて搭載された仕組みで、所有する際の安心材料のひとつです。
投資の観点では、カンガルー銀貨は銀地金の価格に連動する実物資産です。銀は太陽光パネル・EV・電子機器などで工業用途に幅広く使われる金属でもあり、資産保全の対象として世界中で取引されてきました。オーストラリア政府が保証する法定通貨である点も、実物資産として保有するうえでの信頼につながっています。
コレクションの観点では、オーストラリアの象徴的な動物をモチーフとした美しいデザイン、年号による違い、そしてプルーフ版・ブリオン版という選択肢が魅力です。とりわけプルーフ版は鏡面仕上げの美しさで、コレクターに親しまれています。
最新の銀価格について
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なお、銀価格は日々変動します。特定の時点の相場や短期的な値動きに合わせて購入を急ぐ必要はなく、ご自身の資産計画に合わせてご検討いただくことをおすすめします。
人気の高いカンガルー銀貨は、残念ながら偽物も出回っています。本物を確実に手に入れるには、信頼できる正規販売店からの購入が何よりも重要です。販売店を選ぶ際のポイントは次の通りです。
カンガルー銀貨は、裏面のマイクロレーザー刻印を拡大鏡で確認することで、真贋の手がかりが得られます。より詳しい方法は偽造銀貨の見分け方と真贋判定テクニックで解説していますので、あわせてご覧ください。
パース造幣局の銀貨は、カンガルーのほかにも魅力的な選択肢があります。オーストラリア・コアラ銀貨は愛らしいコアラと毎年変わるデザインが魅力、オーストラリア・カワセミ銀貨(クッカバラ)は毎年デザインが変わる銀貨として長い歴史を誇ります。いずれも高純度を共有しており、パース造幣局シリーズで揃える楽しみ方もおすすめです。
カナダ王室造幣局のメイプルリーフ銀貨は、カンガルーと同じ純度99.99%(フォーナイン)を誇り、放射状ライン・マイクロ刻印などの機能的なセキュリティを備えた世界的な定番です。カエデの葉という自然モチーフと高純度で選ばれる点はカンガルーと近く、いわば「高純度ブリオンの二大定番」。違いは造幣局の個性で、カンガルーはパース造幣局の製錬技術とオーストラリアの自然、メイプルはカナダ王室造幣局の実績と流通量の広さが持ち味です。詳しくはカナダ・メイプルリーフ銀貨の記事をご覧ください。
アメリカ合衆国造幣局のイーグル銀貨は、世界で最も流通量が多い銀貨のひとつで、圧倒的な知名度と換金性が強みです。純度はイーグルが99.9%、カンガルーが99.99%で、カンガルーは一段高い純度を、しばしばより抑えめのプレミアムで手にしやすいのが対照的です。売買のしやすさ・知名度を最優先するならイーグル、高純度と価格の手頃さを重視するならカンガルー、という選び方ができます。詳しくはアメリカ・イーグル銀貨の記事をご覧ください。
このほか、オーストリア・ウィーン銀貨は音楽モチーフの芸術性でヨーロッパ最大級の人気を誇り、イギリス・ブリタニア銀貨は英国王室の伝統と2021年以降の視覚的セキュリティが持ち味です。物語性や演出を楽しみたいならこれらの銘柄、自然モチーフと高純度のブリオンを求めるならカンガルー、と個性で選び分けられます。
世界的な流通量や知名度という点では、イーグルやメイプルに一歩譲る面はあります。それでもカンガルー銀貨には、99.99%の高純度、150年近い製錬技術で名高いパース造幣局の信頼性、マイクロレーザー刻印による偽造防止、そしてオーストラリアの自然を映した美しいデザインが揃っています。高純度のブリオンを、パース造幣局ならではの品質と手頃さで持ちたい方に向く一枚です。
資産分散や将来への備えをお考えの方にとって、パース造幣局の伝統と技術が込められたカンガルー銀貨は、オーストラリアの自然と確かな品質を兼ね備えた一枚といえるでしょう。125年以上の造幣・製錬の蓄積、99.99%の高純度、マイクロレーザーによる偽造防止、そしてオーストラリア政府による保証。これらが融合した銀貨です。
実物資産としての安心感と、美術品としての美しさを併せ持つカンガルー銀貨。手に取った瞬間から、オーストラリアの自然とパース造幣局の造幣技術を感じていただけるはずです。
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